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東京2020を楽しむ
2019/10/31

多種多様なスイムスタイルで誰よりも速く泳ぐ!パラリンピックの「水泳」について

パラリンピックの「水泳」は、公平・公正に競技を行うために、選手の障がいの種類や程度、運動機能などにより、細かく「クラス分け」されています。

東京2020パラリンピック競技大会(以下、東京2020パラリンピック)では、日常的に車いすを使っている選手から、四肢切断、脳性まひ、視覚障がいや知的障がいまで、さまざまな障がいを持つ選手を対象とした水泳種目が140以上もあり、日本人選手も数多く参加する予定です。

さらに日本選手団は、アーネム1980パラリンピックからリオデジャネイロ2016パラリンピックまで、10大会連続でメダルを獲得しており、東京2020パラリンピックでも大きな期待が寄せられています。

今回は、パラリンピックならではの「水泳」のルールや、知っておくと観戦時により楽しめる情報をご紹介します。

試行錯誤の末に体得した独自のフォームで泳ぐ!

ローマで開催された1960年の第1回パラリンピックから、実施競技として行われている「水泳」。当初は、車いすで生活をしている選手のみの出場に限られていましたが、その後、四肢切断の選手、視覚障がいの選手、知的障がいの選手の出場も認められ、現在はさまざまな障がいを持つ選手の参加が可能に。東京2020パラリンピックでの種目数は146で、「陸上競技」の168に次ぐ多さとなっています。(2019年8月時点)

一般的にパラリンピックスポーツでは、車いすや義足といった運動機能をサポートする用具や器具を使うことが少なくありませんが、「水泳」は自分の身体だけで勝負します。選手は障がいの種類や程度に応じて動かせる部分を駆使し、試行錯誤を繰り返しながら、最も効率の良い独自のフォームを見つけ出していくのです。こうして自分に合ったスタイルで泳ぐ姿は、「残されたものを最大限に活かす」というパラリンピックの精神を体現しているとも言われています。

そんなパラリンピックの「水泳」は、オリンピックと同じような種目が実施されます。
●自由形50、100、200、400m
●平泳ぎ50、100m
●背泳ぎ50、100m
●バタフライ 50、100m
●個人メドレー150、200m
●メドレーリレー 4×100m
●フリーリレー 4×100m (男女混合リレー4×50m、4×100m)
※男女混合リレー以外はすべて男女別。また、男女混合リレーの4x100mは暫定的な決定。東京2020パラリンピックで実施されるかは、2019WPS世界選手権で実施の上で決定されます。

知っておきたい「クラス分け」&独自のルール

パラリンピックの「水泳」において不可欠な「クラス分け」は、単純に障がいの程度だけでなく、その障がいが医学的、運動機能的に当該競技にどれくらい影響するかなどを専門の資格を持つ判定員(クラシファイヤー)が判断し、適切なクラスを決めています。「水泳」の「クラス分け」では、泳法をアルファベットで、障がいの種類や程度を数字で表記します。観戦する際は、下記の一覧表を参考にしてみてください。

また、基本的には一般的な「競泳」とほぼ同じルールで実施されますが、以下に記すように、選手の障がいに合わせて一部が変更されています。

◎水中からのスタートが認められている

自由形やバタフライ、平泳ぎは飛び込み台からスタートすることが基本ですが、障がいにより台からの飛び込みが困難な選手は、水中からのスタートが認められています。プールに入水してからスターティンググリップを握り、合図とともに手を離してスタート。

◎背泳ぎのスタートは補助具を使用する場合も

通常の背泳ぎでは、プールに入水後、スタート台に設置されたスターティンググリップを握ってスタートの合図を待ちます。しかし、切断などの障がいによりグリップを握ることができない選手は、紐やタオルを口でくわえたり、握力の弱い選手は、(ベルトを手首付近にひっかけるなど)補助具を使ったりして、スタートの体勢を維持することが認められています。

他にもスタートに関してはさまざまな工夫がされています。例えば、スタートの合図音を聞き取ることができない聴覚障がいのある選手には、視覚でタイミングが分かるようにスターターの身振りを工夫したり、シグナルを使用したりします。また、スタート台の上で静止することができない選手には、コーチなどによる補助が認められています。

◎ターンやゴールのタッチも多様

両上肢がない、または機能しない、あるいは両上肢が短すぎて頭上へ伸ばすことができない選手などは、ターンやゴールの際に頭や上半身の一部で壁をタッチすることが認められています。

また、切断などで両腕の長さが異なる選手などは、両手タッチが原則のバタフライや平泳ぎにおいて、両腕を同時に伸ばしていれば、先行する手のみのタッチでもOK。

◎視覚障がいクラスで重要な「タッピング」

プールの壁を目で確認できない全盲クラスなどでは、選手に壁の位置を知らせるため、「タッピング」と呼ばれる合図を送るのが特徴。

選手がターンやゴールをする直前に、「タッパー」と呼ばれる合図を送る人が、棒(タッピングバー)を使って選手の頭や身体にタッチし、壁が近づいていることを知らせます。

タッピングでは、選手と「タッパー」の呼吸を合わせなければ、ターンやゴールで大幅なタイムロスが生じるだけでなく、選手が壁に激突して怪我をする恐れも。選手と「タッパー」の絶妙なコンビネーションも見どころです。

◎他のレーンに侵入しても失格にならない?

視覚障がいを持つ選手がスタート後、またはターンしてから浮き上がる際に、誤って他のレーンで水面に出た際も、そのレーンが空いていれば、そのままゴールすることが認められています。

パラリンピックアスリートが速く泳ぐための工夫とは?

通常、水泳競技では、できる限り水の抵抗を減らし、推進力を高めることが速く泳ぐための条件となりますが、障がいがある選手の場合は、それぞれ自分に合った最適な泳ぎ方を見つけることが、何より重要になります。

○片腕または片脚の切断や麻痺などの場合

水の抵抗に左右差が生まれるため、ストローク(水のかき)などを工夫し、左右のバランスを取りながら泳ぎます。

○下肢の欠損や麻痺などの場合

キックが使えないので、上半身の動きが重要。上半身の筋力をつけたり、肩や腕の可動域を広げて推進力を高めたりして、スピードアップにつなげています。

○視覚障がいの場合

コースの端を泳ぎ、コースロープを意識しながら泳ぎます。コースロープにぶつかってしまうと衝撃とともに、大きな減速につながるため、触れるか触れないかのギリギリで、コースロープを擦るようにして泳ぎます。

一見、簡単に泳いでいるように見えますが、その裏には想像を絶する練習量があります。泳ぎが困難な状態から、さまざまな工夫と地道な努力の末に独自のフォームを見つけ、スムーズな泳ぎを実現する。そんなパラリンピックアスリートの姿に、勝敗を超えた感動を覚えることでしょう。

では、パラ水泳の選手たちは、実際どれくらいのスピードで泳いでいるのでしょうか。参考までに、過去の日本記録をいくつかご紹介しましょう。(2019年7月現在/ともに長水路・50mプールでの記録)

○(S13クラス)男子自由形50m 日本記録25秒40
○(S13クラス)女子自由形50m 日本記録 27秒92

東京2020パラリンピックまであと約1年。パラリンピックの「水泳」は、9月開催予定の国内の大会において優勝するか、代表選考となるレースで、主催者が定めた選考基準タイムを突破すれば、水泳日本代表選手として日本パラリンピック委員会に推薦され、その後、正式に出場が決定するという流れになっています。東京2020パラリンピックには何名の選手が出場し、どのような活躍を見せてくれるか楽しみですね。

パソナで働く杉田選手はシドニー2000大会の金メダル保持者

パソナに勤務する杉田好士郎さん(視覚障がい)は、シドニー2000パラリンピックに出場し、4×100mメドレーリレーで当時の世界新記録を出し、金メダル獲得したパラリンピックアスリート。鍼とマッサージの国家資格を取得し、現在は、パソナグループの健康推進室で「ヘルスキーパー」として活躍中です。

杉田さんの社会人とパラリンピックアスリートというダブルキャリアを歩んできた経験や、パラリンピック出場を目指し戦った日々の軌跡、夢や目標を実現するための方法は、下記の記事でご紹介していますので、ぜひご覧くださいね。

参考:シドニー2000パラリンピック 金メダリストが語る、夢・目標を実現する唯一の方法【前編】【後編

メダルにかける選手たちの想いや挑戦を見守ろう!

東京2020パラリンピックでは、「陸上競技」に次いで実施種目が多く、障がいの種類や程度の異なる多くの選手が出場する「水泳」。

それぞれの選手が試行錯誤を重ね、編み出したベストなスイムスタイルで「誰が一番速いか」を競います。今回ご紹介したクラス分け、ルール、そして選手自身のことをもっと知ることで、より観戦が楽しめますよ。

参考:東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会「水泳
   東京都オリンピック・パラリンピック準備局「水泳
   公益財団法人 日本障がい者スポーツ協会「かんたん!水泳ガイド
   公益財団法人 日本水泳連盟 「競泳記録一覧
   一般社団法人 日本身体障がい者水泳連盟「JPSF 選手・記録データベース/日本記録一覧